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【ジロンドの女王ロラン夫人の半生を綴った回顧録】
『ロラン夫人回顧録』の執筆者であるロラン夫人は1754年3月17日、マリー-ジャンヌ・フリポンとしてパリで生を享けた。1780年2月4日、ジャン-マリー・ロラン・ド・ラ・プラティエールと結婚した。そのためロラン夫人、もしくは夫と区別してマノン・ロランとして知られている。
1787年頃からロラン夫人は多くの人士と書簡を交換して政治に対する関心を深めた。ロラン一家は仕事の都合でしばらく地方に居住していたが1791年にパリに戻った。ロランが要職に就く一方、ロラン夫人はサロンを開いてジロンド派に強い影響力を及ぼすようになった。1793 年、パリ市当局と国民衛兵隊が国民公会を包囲する事件が起こり、多数のジロンド派議員が追放された。ロラン夫人もその余波を受けて同年6月1日にアベイ監獄に収監された。それからロラン夫人の獄中生活は11 月 8 日に処刑されるまで続いた。
『ロラン夫人回顧録』は約5ヶ月に及ぶ獄中生活でロラン夫人が執筆した文章を集めたものである。その内容はロラン夫人の幼少期から成年期に及ぶ回想や政治や歴史に関する所感など多岐にわたっている。ロラン夫人の死後、友人のルイ-オーガスティン-ギヨーム・ボスクが約700枚に及ぶ断片を集めて1冊の本として1795年春に刊行した。その後、さまざまな版が出され、今もなお高い評価を得ている。
本書はロラン夫人が残した草稿の中で特に重要な「個人的な回想」の部分を訳出している。訳者による訳注を加えたほか、さまざまな版に記載されている注を読者の理解を助けるために適宜訳出した。